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覇王伝__蒼剣の舞い2

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 尚武が扉の取っ手に触れる瞬間、
 「尚武、触るんじゃねぇっ!!」
 「え…」
 バチバチッと蒼い火花と共に、尚武は弾き飛ばされた。
 「尚武さん、大丈夫ですか?」
 「ええ、清雅さまが声を掛けてくださらなかったらかすり傷どころじゃなかったでしょうね」
 「当たり前だ。これは蒼剣の防御反応だ。全くここまで成長してやがるとはな」
 「清雅さま、余計に蒼剣に語って貰わないといけませんな」
 「その前に、久しぶりに一合戦といこうぜ」
 清雅は、未だ火花を散らす扉を見つめ笑っていた。

 月明かりが差し込む回廊に、靴音が響く。
 靴音は一つの扉の前で止まり、扉をノックする。
 「お呼びと伺いました」
 「これから少しばかり、騒動が起きる。お前には知っておいて貰いたくてな」
 「騒動、でございますか?」
 「ああ。泥棒が来るのさ」
 「それは物騒な話でございますね。見張りを増やしましょう」
 「いや、そんなに大事にはしたくねぇ。奴だってこっそり盗み出したいだろうぜ」
 「いったい、泥棒の目的は何なのですか?陛下」
 「さぁ。奥の封印、壊れてしまったしな。目的は中のモンだろうな」
 「吾は何を?」
 「騒動の間、そこを見張ってくれりゃいい。瑠邑」
 「畏まりました」
 「____気をつけろよ」
 扉が閉まるのと同時に、清雅はふっと笑った。
 
 ___泥棒が来る。
 そう云った男の顔は、どこか楽しそうだった。
 四獣聖と拓海は、何のことか理解らぬまま扉の周囲に潜んだ。
 「父上、本当に来るんでしょうか?」
 「さぁな」
 狼靖は、いつでも飛び出して行けるように剣に手を置いている。
 星宿も焔も同じだ。
 そんな扉の前に、人影が立つ。
 「あれは…」
 
 バチバチバチ…っ。
 
 蒼い火花が激しく散る。
 「どうして……」
 愕然とする拓海と四獣聖、そして___。
 「___やはり、お前だったな」
 苦悶し唇を噛み締める男が見上げる。
 「忠告した筈だぜ、気をつけろとな。瑠邑」
 「…っ、蒼王…」
 それは誰もが知る瑠邑ではなかった。