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覇王伝__蒼剣の舞い2

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 ___目覚めよ…。
 その声は、徐々に大きくなる。
 ___目覚めよ。
 焼き付くような痛みと共に、蒼く輝く蒼剣。
 七年前、それは突然に起きた。
 清雅の、もう一つの運命。
 
 驚きの表情の星宿を前に、清雅は片手を下ろした。
 掻き上げていた髪が、バサリと広い背を覆い腰まで流れ下る。
 「この事は、狼靖しか知らない」
 「玄武さまも見られたのですか?」
 「まぁな。あの男の前だったからな」
 その変化は、起きたのだ。
 七年前、蒼王となる数日前に。
 その時は、それが何を意味するのか清雅には理解らなかった。
 「白碧の白王さまは、その事をご存じだったのですか?」
 「いや、ヤツは俺が前覇王から何か聞いてないかと思ったようだ。だがそれは不可能だ。俺が生まれる前にその男は死んでるんだからな。おふくろだって、聞いちゃいなかった。ドラゴンの遺産など一言もな。それがあの」
 「赤の谷の壁画ですね」
 「聖連の読みは、かなり外れちゃいるが当たっていた事だ。ただ、奴らはあの壁画を見つけられなかった。遺産が何処かにあると思いこんでいたからな。見逃したのさ。あの意味をお前ならどう読む?」
 『天より下りし神龍、覇王たる___、に秘したり』
 「覇王の何かに隠した、でしょうか」
 「お前もそう読むか」
 清雅は、ふっと笑った。
 赤の谷の遺跡は、遺産を隠したのではなく遺産の秘密を隠したのだ。
 その遺産は何処か。
 「蒼剣はどうあっても、俺を巻き込みたいらしいな」
 遺産などどうでもいい清雅だったが、時はそれを許してはくれそうもない。
 全ての謎は、ドラゴンの遺産にある事は星宿も狼靖も理解った。
 「これからどうしますか?」
 「静かにさせてくれ、ってぇのは無理だろうな」
 星宿に話してすっきりしたのか、笑む清雅の顔はいつもの彼だった。

 黒抄国、王城___。
 二武将と云われる黒抄国二将軍が、二人揃うのは希な事だった。
 右将軍・闇己、左将軍・義勝。
 「よう参った」
 玉座にて、黒抄国主・黒王が満足げに目を細める。
 「黒王陛下、お召しにより参上仕りましてございます」
 「未だ、手こずっているようだな?」
 「申し訳ございません…」
 「二人揃って、たかが小国相手に剣一本も奪えぬとはな」