覇王伝__蒼剣の舞い2
「俺が嫌なんだよ。可愛げないガキらの下なんざ」
「それって…僕の事ですがぁ?」
どう考えても、自分と焔だ。
「いいか…、問題はこれからだ。龍王剣と波長を同調させる。気を抜くんじゃねぇぞ。これが失敗したら、俺たちはここに奴らと生き埋めだぜ…」
「はい…!」
拓海は、再びセイのリードで地に手を押し当てる。
カタカタとした揺れはそのうち、ゴーと云う地響きが変わる。
「日影さま…っ」
離れた所にいた白い影たちが、漸く変化に気付き始めた頃、日影が顔を押さえて苦悶していた。
何が起きたのか、日影にも理解っていなかった。
突然、目の前の龍王剣が蒼く輝き始めたのだ。
「…ばかな…」
「日影さまっ」
「蒼王が逃げるぞ…!」
ポタポタと、顔から落ちる血。
そして________、
ドンッ___!
蒼い閃光と共に、龍王剣は。
「…っ痛ぁ…」
拓海は、思わず転んで頭をさすりながら立ち上がった。
そこには、もうセイはいなかった。
「___とりあえず、成功だな」
龍王剣を握り締めて立つ長身の男。
彼を繋いでいた鎖は粉砕されて、大人の躯に戻った清雅が髪を掻き上げる。
「…何か凄い疲れました…」
当然である。能力をいきなり引き出された挙げ句、行使させられたのだから。
だが、それで労う清雅ではなかった。
「奴らが来るぜ」
作品名:覇王伝__蒼剣の舞い2 作家名:斑鳩青藍