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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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あいちゃん

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 家を出るときはそんな風でも、保育園についてお友だちに会えば、あいちゃんはたちまち元気になります。
 みんなそろって朝のごあいさつをしたあと、先生が言いました。
「もうすぐおゆうぎ会です。みなさんは年長さんですから、おゆうぎのほかに劇と日本ぶようをやります。今日は、その役を決めたいと思います」
 教室中からわっと歓声があがりました。とくに日本ぶようはきれいなふりそでが着られるので、女の子には人気があります。あいちゃんも年少組のときから、自分もおどりたいと思っていました。
『さくらさくら』の音楽に合わせてゆれるふりそでや、髪に差したかんざしがきらきら揺れてとてもきれいなのです。
 日本ぶようの役を決めるとき、あいちゃんは思い切って手をあげました。おどるのは五人ですが、手をあげたのは十人です。じゃんけんになりました。
 じゃんけんにかって、あいちゃんも踊りのなかまに入りました。ところが、だれかが大きな声で言ったのです。
「あいちゃんは髪が短いからあわないよ」
 たしかにほかの四人は長い髪で、あいちゃんだけがおかっぱです。つられて他の子も言い出しました。
「日本髪がゆえないじゃん」
 あいちゃんは悲しくなりました。それで「わたし、いい」と小さな声で言いました。
 先生は決まったのだからといってくれましたが、あいちゃんは引っ込みがつかなくなってやらないと言い張ります。しかたなく、負けた子のなかから髪の長い子を入れました。
作品名:あいちゃん 作家名:せき あゆみ