Last Message
両親が、実際に私がいくつの時に離婚したかは知らない。
最後にお父ちゃんに会ったのはアパートの階段だ。
お父ちゃんは
西陽に背を向けて私を見て言った
「みーちゃん、一緒に暮らしたいねえ、お母さんに言って」
その時履いていた白いGパンをなぜかよく覚えている。
それがお父ちゃんの最後の記憶だ。
私は毎晩、「朝起きたら元通りになっていますように」と、
家族が元の生活に戻ることを願っていた。
長い間、そんなことを神様に祈っていた気がする。
離婚した理由は後になって、言い訳のように母が私に言う。
そんな話は聞きたくもないし、もう聞き飽きた。
私を抱っこして優しく微笑んでいる、
お父ちゃんの写真をずっと大切に隠し持っている
大好きだったお父ちゃんが、死んだか、生きてるか
もう知る由もない。
作品名:Last Message 作家名:momo