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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
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After Tragedy5~キュオネの祈り(後編)~

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キュオネは外部の情報にとことん疎いので、そこの辺りの知識も鈍いようだ。思わず、納得したような返事をしたものの、お得意の質問をしようかと迷っている様子。顔をあげて、今にもデメテルの服の裾に手を伸ばしそうだ。早く話題をそらさなければ…。
「ここに直接何か敷くんですか?」
僕は、ベッドらしい、ゴツゴツした正方形を眺めた。
「さすがにここに3人はキツそうだね…。」
と、一個しかないその正方形を眺めるキュオネ。
「確かに、そもそも1つしかないですね…。」
慌てて、訂正をする。しくじった…。デメテルの視線が痛い気がするのは、恐らく被害妄想だ。

「大丈夫。」
デメテルが正方形の岩の方に手をかざすと苔がびっしりと辺り一面に生えた。
「珍しいね、デメテルが化ける以外に魔法使うの。」
キュオネがしゃがみ混んで、苔を珍しそうに触っている。僕は、何となく丸まっているその背中を眺めた。いつもイタズラにピンピン跳ねている髪がふわりと波打って、左右に分かれ、華奢な首が見えてる。何だか、こうやって見るとか弱そうだな…。そんな事をふと思ってしまった。

「まあ、ここに掛け布団を何枚か敷いて、上に寝ればいけると思う。上がキュオネで、下がユクスと私ね…。」
「うん!楽しみだね!」
キュオネは、笑顔で振り返る。
僕は何とも言えず、笑い返した。