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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
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After Tragedy5~キュオネの祈り(後編)~

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「キュオネには話してあったのだけど、明日、審査が出るまで神殿に一応居て貰うことになっているんだ。」
つまり、僕も泊まる予定だったらしい…。
「じゃあ、3人でここに泊まるしかないかなぁ…。」
デメテルは頭を小さく掻いた。長い髪が揺れる。
「えっ…デメテルさんもここに泊まるんですか?」
「えっ…キュオネと2人で泊まる気だったの?」
そういう意味では無かった。僕的には、僕とキュオネは別な部屋のイメージだった…。僕とキュオネは、別の場所で寝る。それが大前提だった…。デメテルが怪訝そうな顔で見てくる。僕は堪らなくなって、下を向いた。頼むから、そっち方向の疑惑は勘弁して欲しい。何もいい思いなんかしていないのだから、疑惑だけかけられるなんて堪ったものじゃない。段々と目が慣れ、細部まで彼女の表情が見えるようになってきたのが恨めしい。
「あっ、その手もあったんだね!」
キュオネは、口に手を当て、にっこりと笑う。無邪気なものだった。
デメテルがキュオネの肩に手を置き、首を振る。それを見て、キュオネは慌てて訂正をする。
「あっ、でも、皆で寝た方が楽しいね!旅みたい!」
「旅!?」
「多分、キロの反逆者時代の話だと思う。」
ああ…。確かに、家を構えずに転々としながら、一揆を起こしていたわけだから、旅と言えるのか…。
「そういう意味では無くて…。キュオネ、一応人間の女の子なのだから少しは気に掛けようよ…。若い男の人と一緒に寝かせたら、私がキロに何をされるか…。」
デメテルは疲れた顔をして、下を向いた。
「ふーん…。」
キュオネは、ポカンと口を開ける。ちょっと間抜けだ。