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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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After Tragedy5~キュオネの祈り(後編)~

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「冥界の空間は、レーニスが構築したものだから、歴史が浅いの。だから、冥界は小さいし、そこで生まれた精霊は、まだ幼いのよ。」
「え…。」
そんな話は聞いたことが無かった。
「手柄をダイナに譲ったから、あまり有名じゃないけどね。あの時も神に上がれるチャンスだったけど、あの子は、蹴ったわね…。変わりにダイナが神の位に就いた。」
デメテルは、少し視線を落とした。暗くて細部までよく見えないが、顔が少し下に傾いている。やるせないのか、脚の先で地面を小さくトントンと2回蹴る。

「デメテル、今日はここに泊まってもいい?」
キュオネは、デメテルの腕を掴むと声を弾ませて聞いた。
「ここに!?」
デメテルの声がひっくり返った。彼女が驚いたのは当然の反応だ。ここはキュオネにとっては生まれ育った場所でも、僕等にとっては薄暗い湿気っほい不気味な地下牢だ。
「客室、用意してあるけど?」
デメテルは、おずおずと僕を見る。どう答えればいいのだろうか。
「ここがいいなぁ…。」
僕が答える前にキュオネが甘えるような声でせがんだ。デメテルは溜め息を吐く。
「泊まるのも最初は嫌がっていたし、仕方ないか…。」
相変わらず、押しに弱いデメテルだった。

「今日は神殿に泊まるのですか?」
僕が聞くと、デメテルは一瞬びっくりしたような声を出し、それからキュオネの方を向いた。
「ユクスに話してなかったの?」
「まだ、確定じゃないと思っていたから…。」
そう言うとキュオネは、デメテルに抱き着いた。確信犯だと思う…。 わざとぎりぎりまで、決定事項にしたくなくて、言わなかったに違いない。段々とキュオネの行動が分かってきたような気がする。デメテルは仕方ないなぁといった風な唸り声をを出してから、僕の方を向いた。