小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

After Tragedy5~キュオネの祈り(後編)~

INDEX|5ページ/20ページ|

次のページ前のページ
 

キュオネの祈り【後編】2


キュオネは、冥界から、地下牢に戻っているらしかった。
神殿の地下牢の階段を1人下りる。トントンという音は、反響し、僕の元に戻ってくる。その反響音を聞きながら、さっきの地下牢でのやりとりを思い出す。デメテルとレーニスの兄弟…カストルの間に入ったキュオネの落ち着きの払った声が頭の中で反芻する。もう少し僕には勇気が必要なのかも知れない…。
辺りが段々と薄暗くなる。地下牢の廊下に出て、キュオネが昔暮らしていた牢屋を 見ると、薄明かりの中、青い人影がぼやっと見える。
「…。」
「あっ、ユクス、お帰りぃ!」
元気な声を聞いて、それがキュオネだと判った。キュオネは、いつもの人間の装いから、精霊服に切り替わっていた。藍色の服が暗闇に映える。髪をほどいていて、編んでいた時の癖が付いて波打っている。
「ただいま。」
僕は心持ち明るめの声でそう告げると鉄格子に手を掛け、中に入った。
奥にもう1つ人影が見えてきて、近付いて来る。デメテルだ。
「1人できたの!?」
デメテルは驚いて、不安そうに僕を見る。
「さっきまで、見かけ女の子なのにボクって話す精霊と一緒にいたのですが、上で別れました。」
「あっ、アイちゃんだ!」
キュオネは、それを聞くと手を胸の前で合わせ、嬉しそうにした。
「まあ、アイは忙しいから仕方ないか…。」
デメテルは、そう言うと僕に視線を向ける。何か聞きたそうに口を少しばかり開くものの、そこで動きを止めてしまう。
「アイちゃんは、冥界のダイナ様の一番側で補佐をやっている精霊なんだよ。」
キュオネが捕捉説明をしてくれた。
(随分、神様の側近にしては幼かったけど…。)
そんな僕の表情を読み取ったのか、デメテルが付け加えた。