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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
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After Tragedy5~キュオネの祈り(後編)~

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一生懸命周りを気遣って動いてくれている彼女に、僕は何てことを言ってしまったのだろう…。

そんなことだから、僕はシー兄ちゃんを助けられなかったんだ。

シー兄ちゃんの死ぬ間際、彼女だったら、どうしていたのだろうか…。僕と違って、シー兄ちゃんの気持ちを聞き出せていたのかも知れない…。

とりあえず、僕は心配そうに見つめてくるキュオネを何とか安心させようと小さく頷き、そのままデメテルの元に向かうと、背中に触れた。
「大丈夫ですか?」
デメテルは神様だ。寿命の短い人間の僕に気を使われる筋合いは無いのかも知れない。
「大丈夫よ。」
一瞬、失礼だったかとドキッとしたが、デメテルの言葉に棘の様なものは無かった。僕の気持ちを無駄にしないように、彼女は 唇に力を入れて笑って見せる 。震える手を隠すように、腰に巻いた布の埃をポンポンと落とす。
「じゃあ、神殿3階の応接間に行こうか。

仕切り直すように力強くそう言うと、スタスタと歩いていき、鉄格子の牢屋の扉に手をかけた。しかし、何かを思い付いたように、次の瞬間、扉から手を離して、慌てて振りかえる。
「キュオネ。」
キュオネは、さっきまでデメテルが居た場所で、ちょこんと立って、僕らに手を振っていた。名前を呼ばれたので、その手を止めて、不思議そうに小首を傾げる。
「冥界のダイナのところに居て貰ってもいい?」
ダイナは、人間から成り上がった神様で、冥界を統括している。彼女は盲目であり、そして、レーニスの親友だ。キュオネは、一瞬戸惑ったように見えたが、すぐに笑顔で相槌を打つ。
「行き方覚えてる?」
「うん、何回も行ってるもん!」
「今から、急いで向かって貰ってもいい?」