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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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After Tragedy5~キュオネの祈り(後編)~

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「勿論、キュオネ・フェアリースだよ。精霊の持つ生命の息吹のような匂いと人間の持つ殺戮と死の臭いが混じりあって、ちょっと気持ち悪いぜ。西から上がった太陽とか、卵から孵った豚でも見てる気分?」
「…。」
僕は、カストルを睨み付けた。無邪気に笑うキュオネの姿を思い出すと、この男の発言が許せず、イライラした。
「そんなむきなるなよ。普通に考えて、生命力を取り入れ循環させる精霊と、君達のように生き物を殺し生の活力にする存在とじゃ、本来相容れない筈だろう?単純な事を言ったまでさ。あの娘には、真逆な要素が混在してる。」
カストルの余裕そうな平坦な声や、かったるそうに髪をかき上げる仕草が気に入らない。その態度が一層僕をイライラさせた。
「…。」
「不自然中の不自然。そう思わないか?」
僕は、思わず睨めつけずにはいられなかった。
「怖い顔。レーニスが見たら、悲しむぜ?お前を優しくて賢い人間に育て上げたい。あいつの口癖だったんだぜ?そんなに自分の種族が非難されるのが嫌なのか。」
そんな理由じゃない…。僕が怒っているのはそこではない。

「…キュオネに謝ってくれませんか。」
自分でもびっくりする程、ドスの効いた声だった。黙っているのが限界だった。
「ふぅん。あの娘が好きなのかい?僕は、てっきり君はあの娘を好きにならないと思っていたんだけどな…」
僕は一歩下がった、感覚的に彼の側から少しでも離れたかった。
「キュオネに失礼です。僕に好かれても、キュオネは困るでしょう?それよりも、キュオネを悪く言うのを辞めて頂けませんか?」
僕はカストルにキュオネに対する暴言を撤回して欲しかった。
「なんだそりゃ、意味分かんねぇ。自分に嘘ついて、偽善者ぶらなくてもいいんだぜ。 憎くないのか、キュオネの事?」