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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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After Tragedy5~キュオネの祈り(後編)~

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「どうしよう…自力じゃ魔法使えないし…。レーニス様の形見がちゃんとあるか分からないの、ユクス、嫌だよね?」
一旦周りを見回すのを辞め、キュオネは、こっちを向いた。相当慌てている様子だ。
「ちょっと冥界行ってくる!すぐに戻ってくるね!戻って来るまでにデメテルが来たら伝えておいて!」
そう言うと、勢いよく走り出し、鉄格子の扉を開け、階段をダンダンダンと登っていった。

(一人で騒いで自己完結して出てってしまった。)
その仕草が少し滑稽で、でも、可愛らしくて、何だか優しい気持ちになる。僕は、キュオネを待つ事にした。

暫くすると階段を降り、こちらに歩いて来る音が聞こえた。
「お帰り…。」
僕は、振り替えると愕然とした。そこには、キュオネでなく、レーニスの兄弟と言われているカストルがいた。鉄格子の扉を引くと、僕の方へやって来た。
「やっと2人きりになれたな。少し話をしようぜ。」
別に何かをされたわけでは無いのに、その声に僕は嫌悪感を覚える。無遠慮にテリトリーに入られる、そんな感覚がした。
「うわぁ…今更だけど、本当に変わった配色してるのな。ちょっと不気味だわ…。不気味な部屋に不気味な奴みたいな!」
カストルは、僕の前まで来ると、髪の毛に気軽に触れてきた。あまりの言い方に気分が悪くなる。
「…。」
「ごめん、今のは失言だったわ。あの娘に比べたら、お前なんてノーマル中のノーマル?ありきたりだよな。」
少し不快そうな表情をしてしまったのかも知れない。カストルは僕の顔を見ると髪を触るのを辞めた。
「あの娘って…。」