After Tragedy5~キュオネの祈り(後編)~
彼女がしてきた今までの他の人とのやりとりを思い出した。
きっと小さい頃、キュオネはキロから色々な話を聞き、沢山考えたに違いない。そして、きっと皆が幸せになる事を誰よりも願うようになったのだろう。
キュオネの底の抜けた様な明るい声。
キュオネのどんな時でも明るく話し掛ける姿。
それを思い出すと温かい気持ちになった。
数秒間、僕はキュオネを思わず見てしまった。
「お休みなさい!」
キュオネは、急に恥ずかしくなったのか、布団を慌てて被った。その反動で僕の口許にまで布団がかかった。
僕は、キュオネの方に身体を動かすと、布団の中のキュオネの肩に手を置き、
「ありがとう。」
そう言った。
キュオネは、布団から顔をもう一度出すと照れ臭そうに笑う。
翌日、僕は14年ぶりに熟睡をして、寝坊をした。目覚めるとそこには、青い顔をして『キロに殺される…。』とぶつくさ言いながら頭を抱えるデメテルと、少しきょとんとしたキュオネがいた。
僕はどうやら、キュオネに抱き抱えられる様な形になって眠っていたらしい…。
作品名:After Tragedy5~キュオネの祈り(後編)~ 作家名:未花月はるかぜ