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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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After Tragedy5~キュオネの祈り(後編)~

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キュオネは、僕の表情を伺いながら、手を胸の前に置き、もじもじする。それから、もう一度意を決した様に僕を見ると言った。
「だけどね、だからこそ、最後には幸せになって欲しいって思うの。」
「そうだね。」
僕は、キュオネに微笑んだ。
「ブロウニーさんもブロウニーさんの仲間もお母さんの幸せを願っていると思うの。」
「うん。僕もそう思う。」
キュオネの柔らかい声を聞いていると、キロがブロウニーやブロウニーの仲間に愛されてる。根拠もなく、そう思えた。
「あのね…。」
キュオネは、そう切り出すと少しだけ身を乗りだし、僕の方に更に近付いた。
「シーさんやレーニス様もユクスの幸せ、願ってると思うんだ。」
「!」
温かい感触が手に触れた。 キュオネが片方の手を僕の腕に置き、握った。どうしようかと悩んだが、その温かな感触を僕は受け入れることにした。キュオネは、優しく笑みを浮かべ、穏やかな顔をしている。 優しそうに見詰めてくる彼女に、僕は少しだけ幸せに生きてもいいんじゃないかと思えた。僕は、何となく、テーブルに目をやった。キュオネが日中摘んだハルジオンのシルエットが見える。僕の遠い日の思い出を彼女が優しく包み込んでくれる様な気がした。

キュオネはもう片方の手も僕の腕の上に置き、微笑んだ。

「私、やっぱり少し自分の出生が悲しかったけど。でも、もし、私が皆を幸せにする為に生まれてきたのなら、私は嬉しい。頑張りたい。」
「うん。」
キュオネは、ふわりと花のように柔らかく笑った。
なんて、いい子なんだろう。