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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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After Tragedy5~キュオネの祈り(後編)~

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キュオネは伸ばした腕をそっと布団の上に置いた。再び浮かび上がる蝋燭の灯りは温かかった。それに照らされたキュオネの顔は、穏やかだった。

ブロウニーも。
犠牲になった仲間も。
誰もキロを責めてない。

勿論それは綺麗事で、もしかすると、反逆者グループの中には彼女を恨んだ人もいるかも知れない。だけど、キロの本当に大切な仲間はキロを責めていない。そう思えたし、そう言い切りたかった。

「お母さん、幸せになれるといいよね。」
「…僕もそう思う。」
やんちゃで、破天荒で、でも、一生懸命辛かった事と戦っているキロの姿を想像する。応援したい。そう思った。

キュオネは、僕の言葉を聞くと、嬉しそうに微笑んだ。
「お母さんは、誰も恨んでいないの分かってると思うんだ。それよりも、自分だけ幸せになるのが悪いような気がしているんだと思う。お母さんを責めているのは、お母さん自身なのだと思う。」

「そういう気持ち、分からなくもないかも知れない。」

僕は、シー兄ちゃんがレーニスを殺したと村の人に思われてるのに、自分だけが打ち解けて生活をしたくないと思っている。でも、多分、僕がこんな風に過去に縛られて毎日生きている事をシー兄ちゃんは望んでいないに違いない。彼が最期に僕に言ったことは、『幸せになろうな』だった…。僕は、長い事、それを忘れていた。

「うん。沢山自分の事を責めちゃうかも知れないけど…。」