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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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After Tragedy5~キュオネの祈り(後編)~

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「そんなに心配?」
「きちんと眠れているかなぁって…。」
そう言うとキュオネは、布団を口許まで引っ張った。僕は、どう答えていいのか解らず、黙り込んだ。蝋燭の灯りが揺れる。
「お母さん、よくうなされるんだよね。昔の夢を見るみたい…。」
昔の夢とは反逆者時代のものだろうか…。僕の知っているキロは、すぐナイフを投げるわ、ぶん殴るわ、悪さをしていた頃の事を開き直っていて、うなされるとか怯えるとかそういった物とは遥か遠くにいる様に見えた。
「それって、反乱を起こしていた頃の話?」
若干の好奇心も手伝って、思いきって聞くことにした。
「うん。お父さん…ブロウニーさんの事、酷く後悔してる。」
ブロウニーは、反逆者チームの筆頭、シー兄ちゃんの父親だ。つまり、キュオネのお爺ちゃんにあたる人で、キロの恋人。僕が見たことある数少ない肖像画の印象を言えば、これが世界を揺るがせた人物なのかと思う程、華奢な身体付きをしている。
「後悔?」
ちょっと意外な言葉だった。キロは、僕にナイフを向けて暴れた時、後悔してないと胸を張っていた。違うという事なのだろうか。
キュオネは、少しだけ悲しそうな顔をし、しばらく目を閉じ、ゆっくりと答えた。
「護れなかったこと。脚を引っ張ってしまったこと。」
「あ…。」
なるほど…。神様に楯突いた事では無く、ブロウニーの脚を引っ張った事がキロの後悔なのか…。僕は納得をすると、キロに対して、少しだけ申し訳なくなった。あまりにも彼女が破天荒な事ばかりをするので、僕は彼女の事を気楽に生きている人間だと決めつけてしまっていた。
「お母さんに聞いたんだけどね、反乱の戦の際ね、負傷した人はどんどん切り捨ていったんだって。次に攻撃を仕掛ける時に邪魔になってしまうから。そういうところで感情に身を任せると命取りになるから、それが仲間同士のルールだったって。」
「そっか…。」
僕は、返す言葉を見付けられず、ただキュオネの横顔を眺めた。