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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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そらのわすれもの3

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「それでいいんだよ。ウインドスの知識と応用力なら出来るじゃないか。その呪われた血筋で。」
琴恵は、その言葉を聞くと口を歪ませた。

術者には、旧式と新式がある。
竜也の家系天野家は、旧式術者であり、術者本人には力は無く、魔術を使うのに精霊の手助けが必要な家系だ。
それに対し、琴恵のルーツであるウインドス家は、新式術者の家系であり、大昔に精霊殺しをし、精霊の力を体内に吸収した一族だ。

「私が殺したわけじゃないけどね!」
あまりにも横暴な態度に琴恵はイラついた。引き出しの中から、魔力の媒介になりそうな紙を適当に出し、乱暴に窓の方に歩く。早く術札を作って、会話を切り上げてしまいたい。

紙を空にかざすと、夕日と同じ色に染まり、アルファベットに似た文字が浮かび上がった。
「はい。やるわよ。」
琴恵は、それを竜也の足元に乱暴に投げつける。紙は空気抵抗を受けて、ふわりと舞い、床に落ちた。
「サンキュ」
竜也が拾うと、琴恵はすぐに目を反らした。
「俺は帰るよ。」
竜也は、術札を引き出しにしまい、鞄を手に取り、職員室の扉を開いた。

琴恵は慌てて走って、竜也が締めようとする扉を掴んだ。
酷く険しい顔をしている。

「風通り悪くなるから、扉、閉めないでね!」
「…?分かった。」
その尋常じゃない慌てぶりに、竜也は奇妙な顔をしたが、あえて聞くこともなく、扉をそのままにした。
琴恵は、一人になったのを確認すると、机に大きく突っ伏して溜息をついた。