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水岡 きよみ
水岡 きよみ
novelistID. 46973
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みずいろ

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待ちに待って、ようやく来たメールは


〈えっと、埼玉住みの理系大学生だよ~

 趣味は読書で、色々読むけどホラーとサスペンスはあまり読まないな
怖いの苦手なんだ(汗)
他にも漫画とかゲームも好きだよ

 ゆったりメールできるといいよね
仲良くしてね〉


というものであった。

…なんだろう。

なんだかすごく引き込まれる文章だな、と思った。
砕けた文体のなかにも独特さと他人を気遣う優しい印象が漂う。
メール一通でここまで心を動かされることは今まであっただろうか。

名前も知らない、ほとんど何も知らないかれに惹かれたわたしは、あわただしく左手の親指を動かす。


〈メールありがとうございます!
 私も埼玉ですよ(#^.^#)
 理系とかかっこいいですね☆彡
 こちらこそ仲良くしましょう!!!
 読書か~
 最近あんまり読んでないけど、私は普段は恋愛小説とか音楽ものを読みますよー
 なんかおすすめの本とかありますか(・・?)  〉
 
 
 送信して、また数分後に返信があり、
 
 〈そんなことないよ、普通だよ~
  大学では数学の勉強を主にやってるね
  本は○○○○さんのが読みやすくてオススメかな〉
 
 
―――
 
 そうして、わたしたちのみじかい文章のやり取りはどんどん続いていった。
 
 メールのなかで、かれは自らを“学(まなぶ)”と名乗った。
 ちなみに、わたしは名前そのまま“なずな”で名乗った。
 当時のわたしは、ハンドルネームだとか本名でない名前を名乗るだとか、そういった概念が無かったので、何も考えず学さん、学さん、と呼んでいた。
 
 そんな学さんは、火曜から木曜は夕方から塾講師のバイトがあるらしく、わたしも水曜と木曜は夜から塾で、なおかつ部活が毎日あったので、お互いの都合のいい時間帯に気ままにメールを返すという、縛りは無いけれど充実していてとても楽しいひとときであった。
作品名:みずいろ 作家名:水岡 きよみ