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水岡 きよみ
水岡 きよみ
novelistID. 46973
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みずいろ

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メル友さん



メル友募集の書き込みをしてから5分くらい経った。

メールは2通ほど来た。
ただし、まともな人ではない。

〈えっちなメールできる?〉
といった内容のメール、そして
〈デートのときに彼氏が乗ってたらかっこいいと思う車を1~9の中から選んでね!→URL〉
というメール。
馬鹿馬鹿しいのでどちらも受信拒否にした。

前に募集したときはそういった冷やかし含め9人くらいから来たのにな、とため息をつく。
ため息は幸せを逃すとは言うけれど、仕方ないのだ。ため息なしにはやっていけない。


もっとまともな人は来ないものか…と、返事を待ちつつ携帯片手に部屋をウロウロする。

10分経過…


もうこれ、来ないんじゃないか?
書き込む時間が早すぎたのかも?
いや、親のことを考えるとあの時間で十分なはず…


などと考え込んでいたが、あまりふらふらしてても時間の無駄だし、他のことをして時間を潰す方が良いことに気がついた。

私は風呂場へ行き、浴槽の栓を抜いてまた部屋へ戻った。お湯が抜ける頃にはメール一通くらい来ているだろう。


椅子に座り足を伸ばしながら、まだ配られたばかりの夏の大会で演奏する予定の自由曲の譜面に目を通す。

その曲はバレエ音楽だそうで、でも私は知らない品目、知らない作品だったのできっとそこまで有名なものではないはずだ。
3年生だからきっと私は参加できると思うけれど、顧問にも同級生にも好かれていないし下手だと散々罵られてきたから、メンバーに確実に乗れる自信は正直あんまりない。入ってきたばかりの後輩が私よりもどんどん吸収していて、それが喜ばしいことであり、同時に憎らしくもある。先は真っ暗だ。


そんなことを長々考えているとき。

突然、視界の端に携帯のランプが光るのが見える。
マナーモードにしていたので、着信音は鳴らない。

「…ついに来た!!」

思わず飛び付いて携帯を開くと、見知らぬメールアドレスからの新着メールを告げる画面。

「キタァァァァァァ」
時代錯誤も甚だしいことを自覚しつつ、抑えきれぬ悦びに思わずガッツポーズと共に声をあげた。
作品名:みずいろ 作家名:水岡 きよみ