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ビックブラザー(総理大臣)はアルバイターでパート

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第一章・ビックブラザーの憂鬱 コンビニの仕事は暇で楽



 23世紀でも24時間経営のお店がたくさんある。
 ほとんどが、警察官、市民軍の軍人、警備会社、市民監視会社の人たちが、休憩時間にお店を利用する。コンビニはもちろん、ファミリーレストランで夜食を食べる。休憩をする。本を読む。
「今日も朝まで暇かも。でも、昼間は寝て、夕方から出勤まで日本列島各地の政治家と話し合わないと」
 彼は日本の総理大臣。庶民に紛れ込んで政治家としての活躍する。

 複数の総理大臣がいる。

 21世紀後半、都道府県が廃止され、道州制が導入されたが、地域格差ができた。特に貧しいのが、関西地区。沖縄独立運動が行われたが、日本政府は台湾と併合した。その結果、沖縄の独立は阻止できた。さらに親日国、フィジーも日本固有の領土になった。
 

 日本列島の自治体は人口の急激の現象により、都道府県という自治体ではなく、「市」と「郡」だけになった。日本本土には74の「市」と48の「郡」がある。日本の人口は3千5万人しかいない。

 アメリカ合衆国はカナダが合併して世界最大の国になった。連邦制ではなく、他の国を固有の領土にしてもいいということで、世界の国の数は少なくなった。ヨーロッパでは英国とアイルランド、そして永世中立国のスイスを除いて、ヨーロッパが一つの国になった。北欧のストックホルムがヨーロッパ連邦の首都になった。
 東ヨーロッパ諸国も合併して一つの共産主義国家になった。

 それでも世界では約100もの国がある。

 日本では、道州制が廃止され、北海道と大阪に日本本土と異なる政治体制の国を作ることを許可した。中国で言えば、香港とマカオみたいなものに近い。外国の租界地ではなく、日本という国の中の国なので本土と違う政治体制と法律がある。

 日本の全体主義・共産主義が嫌なら、いつでも勝手に自治区か自治共和国に住んでくださいと政府は宣言する。近年、北海道の中にある自治共和国の住む人が増え続けている。
「もうそろそろ勤務時間が終わる。そのあいだ昼寝をして、夕方、日本各地の政治家とネットで話し合わないと。本土の人口流失問題を何とかしないと」
「すみません」
「お客さんだ」
「これをお願いします。準備できていますか」
「はい、温かいコーヒとチキンのお弁当ですね。」
電子マネーで支払う。どのお客が何を買うか予測しなければならない。
「お客さん確認します。ご注文はホットコーヒーに、お弁当ですね。お弁当は温めました。ホットコーヒーはブラックですね」
「どうもありがとうございます。よくわかりますね。アンドロイドでなく人間が店員して、私の欲しいものを予測するのは不思議ですね」
「でも、まあ、お客さんの欲しいものはパタンが決まっていますから。でも、いろんなお客さんと接することで、世間がわかるのです。でも、深夜から早朝だと、ほとんどが警察官か警備員で。あとはその下請け企業の人たち」
「でも下請けの人たちは、知能が低いから学力が低いのでは」
「いいえ、彼らはまだ若い。何というか発達障害ですが、そのうち一人前になるでしょう。そうして30歳になれば新人の警察官になれる」
「でも、昔のコンビニは、このように店員とお話することはなかったですね」
「そうです。昔と比べて人と接する時間が増えましたね。ネットでなく顔と顔を合わせて会話をする時間が」
「では、休憩時間が限られているので、このへんで。どうもありがとうございました」
「また、来てください。ご利用ありがとうございました」

 ビックブラザーといわれる人も、政治活動から離れると普通の人。そんな人が日本の総理大臣で独裁者とは思えない。

「どうしよう。内閣支持率は」
 彼は仕事のあいた時間、タブレット端末で政界の記事を読んだ。
「自由を求め自治区や自治共和国に移住する人が増えている」
 あれだけ社会保障と福祉に力を入れているのにと思った。
「日本そのものに、もっと自由にさせないと。自由に思ったことを言わせないと。寛容で謙虚な気持ちを持たないと」
 でも、独裁者でも政策を勝手に決められない。
 多くの国会議員の承認がなければならない。

 国会議員、地方の党の議員、そして総理大臣であるビックブラザーを監視する組織がある。