誰か彼を探して
公園に残されたJ.Jが
私の去って行く背後ろ姿を
どんな顔してみていたかなんて
想像もつかなかった。
翌日から、ふたりの生活は
変わったし、いつか変わらなければ
ならない日が来ることなど
本当はとっくに知っていた。
J.Jが私から旅立った…。
それからJ.Jから連絡は来なくなった。
彼が私の言葉に怒っているのか
悲しんでいるのか、
単に忙しいだけなのか
わからなかったし、
こっちから謝ったら、
J.Jの短所をせめてしまうような気がして
怖くて、電話もできなかった。
そんなモヤモヤした気持ちの中で
私も仕事を探し始めた。
正社員の雇用はなくても
アルバイトくらいなら幾らでもあった。
246沿いにあるファミレスは、24時間営業で
完璧なフリーターの私は、35歳のデブの店長に
重宝がられ、決まったシフト以外にも
突然呼び出されてホールに出ることも多く、
J.Jの事は気にならなかったといえば嘘になるが
なるべく考えないように、彼から電話が来るのを
待っていた。
しかし
電話は一向に来ることはなく
私は一日に何度も携帯の着信履歴を確認した。
桜は散り、雨が紫陽花を濡らし、
異常な程の暑さを連れて、夏がやってきた。
私は、歩けば駅まで20分はかかるJ.Jの住む団地まで
自転車で出掛けてみた。
自転車とはいえ、太陽が痛いくらいに頬を照りつけた。
3階のJ.Jの部屋の窓を見上げると、以前と変わらない
ブルーのカーテンが開け放した窓の端から
時々、風に揺られて見え隠れしていた。
引っ越してはいない…。
自転車にまたがったまま、携帯電話を握り、
彼の名前を表示して、何度も通話ボタンを押そうか
迷った。