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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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コウタと嘉助と浜昼顔

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「ようし、ケンタ。今のうちに敵の陣地にせんにゅうだ」
「アイアイサー」
 コウタの命令で、ケンタはまるで実際の兵隊のように敬礼すると、いきおいよく飛びだして行きました。
「大将。スパイをつかまえました」
 こちらの陣地に忍び込もうとした敵のスパイをなわでしばって連れきた者もいます。
 こうして、子どもたちの戦ごっこは日がくれるまで続けられました。
 この日は、敵地に忍び込んだケンタのお手がらで、コウタのグループが勝ちました。
「やった。やった。大将をいけどりだぁ」
 みんなで勝ちどきを上げました。
 
 コウタは嘉助やケンタと楽しく遊びました。
 ある時は山へいってアケビやキノコをたくさん採ってきたり、川にフナを釣りに行ったり。
 そんな時、ケンタはキノコのたくさんある場所や、上手な魚のとり方を教えてくれたりしました。
 ある日、事件が起きました。村のあちこちで、飼っているニワトリや干しておいた魚がぬすまれたのです。
 残っている足あとから、キツネだろうということになりました。
「おいら、母ちゃんから聞いたことがある。流れ者のやつがいるんだ」
 ケンタがいいました。
「よし、みんなでそいつをやっつけようじゃないか」
 コウタが提案しました。
「でも、どうやって」
 ケンタが聞くと、コウタが答えました。
「なんでも山の村の鉄砲うちをたのんだんだって。だから、その人に協力するんだよ」
 こうして知恵を出し合って、キツネを追いこむ作戦を立てました。そんな時は嘉助がたよりになりました。嘉助は戦ごっこの時は作戦参謀です。
 ケンタはけものみちを嘉助に教え、嘉助は自分が作った仕掛けをみんなと手分けして、取り付けました。
 キツネの身体がやぶの木にふれると、音が出る工夫をしたもので、鳴子の小さいものです。
 おとりのニワトリをつるして夜まで待つと、やがて、大きなキツネがあらわれました。
 でも警戒してなかなか餌に近寄りません。しびれを切らしたケンタは、思い切ってキツネの前に出て行きました。
 そして、いちもくさんに山の中に走っていったのです。大キツネがケンタのあとを追いました。ケンタは自分がおとりになったのです。
「あ、あいつ、あぶねえ」