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せき あゆみ
せき あゆみ
novelistID. 105
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コウタと嘉助と浜昼顔

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「なにいってんだよ。おまえ。なんでおれがおまえのひいじいさんなんだよ」
 嘉助がコウタの首にうでをまわし、ぎゅっとしめつけました。
「あ、わりい、わりい」
 自然に言葉が出ました。とすると、コウタは今、嘉助の親友幸太になっているのです。
 コウタはそばにいる仲間の顔を見まわしました。みんなの名前がすうっと頭の中にうかびます。
(えっと、大吉に松之介に金治。それから二郎、一太に弥介……)
 そして、後ろの方にいる、こがらでひょろっとした色白の男の子を見つけました。
(ああ、キツネのケンタだ)
 ケンタはコウタの顔を見るとにやっと笑いました。
 
 コウタは庚申山の陣地に行くと、みんなに指令を出しました。こういう遊びをするのは初めてなのでドキドキしています。
 でも、今までひいおじいちゃんから、昔の子どもの遊びのことはたくさん聞いていたので、だんどりはちゃんとわかっていました。
 このころの子どもたちは大きい子も小さい子もみんないっしょに遊んでいたので、小さい子どもたちには、陣地でどろ団子を作る仕事がありました。
 それから、竹鉄砲のための木の実を調達したり、何人かには敵の陣地の近くの草っぱらの草を結んで、足を引っかけて転ぶような仕掛けをさせました。もちろん、落とし穴を作ることはわすれません。
 いよいよ準備がととのいました。コウタはススキの穂を采配にして、ふり上げながらさけびました。
「ようし。とつげきぃー!」
 ラッパ係りがおもちゃのラッパをふきならします。
 パッパ パッパ パッパ パッパ パッパ パッパ パッパパー♪
 東の庚申山、西の権現山から小家名の浜めがけて、クモの子を散らしたように大ぜいの子どもたちが、いっせいにとび出しました。
 どろ団子や木の実の弾がとびかい、とっくみあいやチャンバラがしばらくの間続きます。
 こうしているうちに、相手の陣地にもぐりこんで旗をとるために、別働隊が出ていきます。
 どちらも自分たちの旗を持っています。その旗は、たいてい風呂敷に墨で自分たちがデザインしたマークを書き込んだものですが、なかには大漁旗の古くなったのをもらって、陣地に立てるグループもありました。
 戦のルールは、先にその旗をとった方が勝ちになり、いつまでも決着がつかないときは、大将同士の一騎打ちになるのです。