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朝木いろは
朝木いろは
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十七歳の碧い夏、その扉をひらく時 <第二章>

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「頼みがあるんやけど」
 黒野は何事もなかったかのように俺の方を向き、ニヤけた顔を浮かべた。
「MIN友でミサキって子いるやろ。あの子めっちゃ可愛いな」
「なんで未咲のこと知ってんの?」
「お前のMIN友チェックさせてもらったわ」
「いちいち見んなよ」
「そん中でミサキっちゅう子が一番可愛い。色白で美人やし」
「で、何?」
「いや、紹介してもらえたら嬉しいなぁ思うて」
「それはない」
「なんで?」
「どうしても」
「頼む」
「嫌だ」
「なんで意固地になるんや。ええやん、俺だって彼女くらい欲しいわ」
「たくさんいるだろ。それに高校生だぞ、相手は」
「ええよ。若い方が好きやし」
「サイテー。このエロオヤジ」
 白崎が横から黒野を睨みつけた。
「エロオヤジってなんや。俺はただ若い方がエエっちゅうただけやん」
「しかし倫理的にはどうかと……」
 大が口を挟んだ。
「これが俺の本音や。人生は一度きりやで。死ぬまでに一回はアイドルみたいな女子高生と付き合ってみたいんや。そんであわよくば……」
「あわよくば何よ」
「男ならわかるやろ」
「やっぱコイツ最低」
 白崎が軽蔑するような目をして黒野を指差した。
「最低ってなんや。お前の方がワケわからんし。男なんだか女なんだかハッキリせえや。その喋り方もキモイんや」
「なによ! このエロ男! 女子高生に手ぇ出したらアタシが警察に通報してやる」
「まぁまぁ、公共の場で喧嘩は良くないかと……」
 大がなだめたが、事態は一向に収まる気配はなかった。
「片桐先輩、どこ行くんですか」
 大が慌てて俺を追いかけてきた。喧嘩をしている二人を置いて、俺はザ・トリップマンを後にした。
「き、きっとあの二人って性格が合わないんでしょうね」
「ケンカするほど仲がいいって言うし。似たもの同士に見えるけど」
「まぁたしかに血の気が多いところはソックリですよね。と、ところで片桐先輩はミサキって子と付き合ってるんですか?」
 大はいきなり核心に迫ってきた。何も考えてないような顔をしてまったく隅に置けない奴だ。
「だったら何?」
「す、すみません。さっき先輩の顔色が急に変わったから。その子を魔の手から守ろうとしてるって言うか……」
「洞察力すげぇな」
「お褒めにあずかり光栄です」
「いや、褒めてないけど」
「え?」
「あのさ、他人のプライベートを詮索するのは良くないと思うよ。あと人の顔色ばっかり見て喋るのも気持ち悪い」
「ご、ごめんなさい」
「謝るくらいなら最初から聞くな」
「ごめんなさい」
「ついてくんなって」
「あ、あの……」
 大はまだ何か言いたそうにしていたが、俺は早歩きで商店街の人ごみへ入っていった。
 未咲を他の男に紹介するだって? 何をバカな! あいつは俺のものだ。胸に渦巻くドロドロとした黒い感情は、消化されずに俺の中にしばらく残っていた。