ぼくのぶらんこ ―かぜにゆれて―
ある日、ひろしくんが、ひまわりこうえんに いくと ぶらんこに おんなの子がいた。
ひろしくんは、その子に「どいて」といった。そのおんなの子は、ないてしまった。
でも、ひろしくんは、おかあさんと やくそくをしたので、ぶらんこにのった。
おんなの子のおかあさんが、やってきた。おんなの子は、おかあさんと 手をつないで かえっていった。
(あの子は、ぼくより 小さいし 女の子だけど これは、ぼくのぶらんこなんだ)
ばんごはんのときに ひろしくんは、おかあさんに おはなしをした。
おかあさんは、ひろしくんを しかった。ひろしくんは、かなしくなって ないてしまった。
おふろに はいったとき、おかあさんが ぶらんこのことを はなした。
「ひろくんは、おかあさんと やくそくしたことを まもって えらいね」
「ぼく、ずっと まもっているよ」
「じゃあ、おやくそくを もうひとつ」
「なに」
「『こうえんで みんなと なかよくしましょう』ひろくんより 小さな子には やさしくしてあげよう」
「やさしくって どうするの」
「そうね。ようちえんで ねんちょうさんに なったら、ねんしょうさんと あそんで あげたでしょ」
「うん、ぼく したよ」
「じゃあ、ぶらんこも ひろくんばかり あそんでいたら ほかのおともだちが つかえないでしょ」
「だって」
ひろしくんは、ふくれたまま おふろを出た。
つぎの日、ひまわりこうえんに いくと ぶらんこに おんなの子がいた。
ぶらんこに すわっていても すこしも ゆれない。
「ちゃんと ここを つかんで いてね」
ひろしくんは、うしろから すこし せなかを おした。ぶらんこが すこし ゆれた。
すると、おんなの子が わらった。ひろしくんは、もういちど おした。
おんなの子は、また わらった。ひろしくんは、うれしくなった。
おんなの子のおかあさんが やってきた。
「おにいちゃんに おしてもらって よかったわね。ありがとう」
おんなの子は、ひろしくんに バイバイをして おかあさんと 手をつないで かえっていった。
作品名:ぼくのぶらんこ ―かぜにゆれて― 作家名:甜茶