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桃井みりお
桃井みりお
novelistID. 44422
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毎日が記念日だって思うんだぼくのとなりにきみがいるなら

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2013年9月 またひとつ夏が終わってしまうけど結局ぼくは真っ白なまま



 もう、9月も後半だというのに相変わらず毎日暑い日が続いている。ぼくは、夏と冬のどちらが好きかと問われたとき、決まって即答する。夏だと。すると、暑いほうが好きなのか?寒いのが嫌いなのか?という話になりがちだけど、それは違う。ぼくが好きなのは夏の煌めきと、なんとも言われぬサウダージ。生きている実感がまた、死生観を募らせるのです。

 1992年の夏、ぼくは幼馴染の女の子を交通事故で亡くした。15歳だった。


『またひとつ夏が終わってしまうけど結局ぼくは真っ白なまま』
『「暑いな」と愚痴る相手がいないから余計にセミの声がうるさい』
『かなしみを洗い流して欲しくって夕立のなかひとり爛れる』
『誰にでも存在価値はあるんだよ溶けてしまったかき氷にも』
『砂浜に落とした涙を探すより海の向こうの明日を見ないか?』
『「精一杯生きているか?」と問うようなセミの亡骸夏の抜け殻』



 ぼくの短歌を読んだ友人が、評して言った。「会話文が出てくる歌が多いね。そこが特徴で魅力かもね」と。以下の四首はノートしていたが未発表だったものを、友人を呆れさせるために載せるものです。


『「ねぇ」「なぁに」「ねぇ」「なぁに」
  「……ねぇ」「なぁに」「なんでもないわ」 ほおづえと嘘』
『「悪いのは平凡だってことじゃなくそれを恥だと思うことだよ」』
『「知っているということと解っているということの違いを教えて」』
『「坂道は上から見れば“くだり”だし下から見れば“のぼり”なんだよ」』

                          2013年9月某日