毎日が記念日だって思うんだぼくのとなりにきみがいるなら
2013年4月 あと何度きみの嘘を信じたらきみを嫌いになれるんだろう
今年になって、短歌を詠み始めたぼくにとって、ひと月に10首というのは結構な挑戦だ。自分の現状の中で、ぼくのスタイルを守りつつ、うたっていくことの難しさに、早くも躓いている。
ぼくは、短歌はポップスのようになって欲しいと思っている。歌人の実体験だけが、必ずしもテーマになるとは限らない。歌人の理想、妄想でもいい、創造というのは、無限に広がる宇宙のような中に生まれるものだ。
まいさんとのことも、全然進展もなく、過去の恋愛をモチーフに歌を創ったりしたけど、今回は全くのフィクションで歌ってみようかと思うのです。それでも、やっぱりぼくの経験や感覚が反映してしまうから、ぼくの歌にかわりはないなぁとも思っている。
『月よりも太陽よりもこの地球(ほし)がぼくは好きだなきみがいるから』
『「ぼくたちが立ってるここが真ん中さ」
「世界の?」「ううん……幸せの」』
『笑ってる きみが隣にいるだけで 空も飛べるような気がする』
『あと何度 きみの嘘を信じたら きみを嫌いになれるんだろう』
『いくら手を伸ばしても空に届かない ぼくの両手をきみにあげたい』
意味を超越した、言葉の響きを優先してうたってみたり実験的な試みもできるのは、創造としての短歌作りの醍醐味かもしれない。それでも、ありがちな状況説明のような作品じゃなく、感情のよみとれる歌を目指したい。
そう、意味性を超越しても、ぼくの気持ちや感情が表現できることが大切なんだろうと思う。見えるものを見えるままに写実的な描写で、美しい短歌をうたっても、そこからぼくの思いが伝わらないなら、それをぼくがうたう必要がない。1首の短歌を詠んで、その時のぼくの気持ちをよみとってもらう、それが、ぼくの短歌作りの第一義だといってもいい。
『訊かないで「わたしのどこが好きなの?」と全部答えるの大変だから』
『きみと星と鼻歌とぼくと本と菜の花と春はもうすぐ』
『「なにもかも変えたい」と言うきみだけど
ぼくのすべてを変えてくれたね』
『食べてるか眠っているか淋しいか172800秒の連休』
『星空にはしごをかけて登ったねきみと寝た日にぼくが見た夢』
2013年4月某日
作品名:毎日が記念日だって思うんだぼくのとなりにきみがいるなら 作家名:桃井みりお