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文が痛い

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マコ



 梅雨に入ったらしいね。青春のドロ沼が深くなった気がする。何もかもうっとおしい。
相変わらず、母とはたまにしか話をしてない。食事も一緒にしてない。あ、カズは食事どうしてるの? 朝は食べないんだろなあ。お昼外で食べて、夜も外で食べてかな。ちゃんと食べてる。野菜もとらにゃあかんよ。ふふふ、お姉さんみたい。こんなことを書いていたら、マコが作ったものを食べさせている想像しちゃった。きゃっ!
 
 少し気分が良くなってきたわ。ホントはね、マコも外食というかジャズ喫茶でコーヒーとトーストなんかだったり、友達とレストランとかだし、料理できないんだ。
 たまに早く帰った時、家に誰もいない時に簡単なもの作ったことあるけどね。カレーライス。
 カレーライスで思い出した、遠藤賢司のカレーライス。好きです。でも、やはり男はこの歌のように何もしないで待つのかなあ。失敗するとバカだなあ、なんて言って。
 カズはどうだろう。案外器用で俺手伝うよとか言って。ああ想像してると楽しいわ。

 そう言えば子供の頃はおばあちゃんの料理食べてたなあ。おばあちゃんが亡くなってから、母の料理を食べているはずだが、思い出せない。そうかあ、祖母がなくなってちょっとたったら離婚だものね。私が中学生の多感な時期に……。
 高校生になってから、マコはだんだん学校へ行かなくなって、高校中退です。それで、本をいっぱい読んで、ジャズなど聴き始めて、暗い女になりました。ははは  冗談。
 
 仏教の本、中原中也、その他色々。私は成長しただろうか。何かを悟った気もするわ。この世は不公平に出来ていると。

 レフトアローン、マルウォルドロンのピアノよりもジャッキーマクリーンのアルトサックスの官能的で悲しい音色を聞きながらも、甘くせつなく聞こえてくる。
  もう寝ようかなあ。カズ、ちょっと腕枕してね。

  ふーっ、幸せ。おやすみなさい。

作品名:文が痛い 作家名:伊達梁川