ことばの雨が降ってくるまで
つばっちの思い出・1
エッセイの中に入れようと思い、以前書いて別のフォルダに保存しておいたものを引っ張り出したら、ありゃりゃ文字化け……(-_-)
全部をまた書き直すのも面倒なので放っておきましたが、やっぱり忘れられない思い出なので残しておきたいし、拙作『はるかな青空』にも登場させたこともあるので、再び書くことにしました。
『つばっち』とは、ワタクシが育てたつばめの名前です(作品の中では「クロ」です)
もう10数年まえのこと。姉が拾って連れてきました。
最初はほこりの固まりのようで、黒いまん丸な目玉と黄色いくちばしがついています。
「かわいそうだから、あんた、育てて」
といって、さっさと帰ってしまいました。
──って、おい。なんで鳥を拾うたびにうちに連れてくるのよ!
しかしながら、これにはわけがありまして、姉の家は猫屋敷(彼女は化け猫)と称されるほど猫がおりまして、そこへツバメの子なんぞ連れて行ったらたちまちえさになってしまうのは必至です。
ワタクシの家といえば、その頃はもうインコ(セキセイインコとルリコシボタンインコ)しか飼っていなかったので、害はないと思ったのでしょう。
それまでも、自分が外出した先で、スズメだのツバメだの拾ってはうちにつれてきたものでしたから。
ですが、幼なすぎてえさを食べないので、ことごとくだめでしたが。
どうせまた、えさも食べずにすぐ死んじゃうわよ。
などと思いながら、どうしようかと考えていたら、「ギャアギャア……!」と、突然大声で泣き出したのです。
もしかしたら、こいつは生きられるかも……と思い、ワタクシはさっそく活きた虫を探しに行きました。
あまり大きな虫では飲み込めません。
ちょうどいいのは、このあたりで「ハト」と呼んでいる「なんとかハゴロモ」(忘れてしまったので、また調べますね)という虫です。
とってきた虫をピンセットでつまんで口のそばに持っていくと、顔中口にして前につきだしてきます。
でもまだへたくそで、何匹か逃がしてしまったので、やっと数匹のどの奥へ入れてやりました。
やれやれ、と思ってほっと一息ついたとき、またしても……。
「ギャアギャアギャア」
最長で2時間、おとなしくしていればいい方です。
目の前に動くものが通ると、たちまち「ギャアギャア」と口を開けてえさを食べたがるのです。
ひどいときは30分おきですから、のんびりしていられません。
ツバメの母になると言うことは大変なことだと、このとき改めて思い知らされました。
作品名:ことばの雨が降ってくるまで 作家名:せき あゆみ