ことばの雨が降ってくるまで
おさげとおかっぱ
日照り続きとはいったものの、去年書きかけたままだった作品を仕上げてみました。本当は10枚ものでもうすこしエピソードがあったのですが、7枚でシンプルにまとめました。
ほとんど昔のワタクシの思い出です。
まあ、いちいち書く必要もないことかもしれませんが、これも文章表現の一環として書いているということで、さらっと読んでやってください。
ワタクシはずっとおかっぱ頭です。中学生の頃ショートカットにしたことはありましたが、基本はおかっぱで、かっこよくいえばボブカットというやつです。
大人になってから、前から見るとボブで、後ろからはショートカットにみえる、いわゆるグラデーションボブにあこがれてそれをやってみたいと友だちの美容師にいいました。
そうしたら、「アナタは後ろの髪が少ないから、グラボブは無理」といわれ、普通のボブにしました。
なんでグラボブにしたかったかというと、頭が良さそうにみえるから……です(^^;)
と、こんなことは余談ですが、とにかく、物心ついた頃から姉はおさげでワタクシはおかっぱでした。
この頃、同居していた伯母が姉を猫かわいがりしていて、毎朝きっちりと三つ編みにしていたのです。ワタクシもお下げにしたくて髪を伸ばしたいといったのですが、「あんたはにあわない」と速攻で却下されていました。
このころの保育園のいわゆる「おゆうぎ会」は、かなり本格的で、衣装は園でちゃんそろえていました。
日本舞踊はちゃんと振り袖を着て、ダンスは白いドレスで踊ったり、もちろん、劇でも衣装などかなり凝っていました。
ワタクシは保育園に行くのがとってもきらいな子だったのですが、なぜかおゆうぎ会というと花形でした。
なんて、自分でいうのもおかしいですが、実際に2年保育でしたのに、なぜかおゆうぎ会の写真がいっぱいあるのです。ずいぶん前ですが、実家にいるとき、どこからかそれらの写真が出てきたのです。
白いドレスを着てフランス人形を抱いたのとか、金の扇をもって袴をはいた姿とか、年長さんの劇の中に年中のワタクシひとりだけ入ってうさぎの子ども(末っ子)をやったのとか、他にも劇に出た写真とか。
その中でなんとなく覚えていたのは、年長さんの中にまじってうさぎの子の役をやったことくらいです。
なつかしく思いながら、写真を見ているうちにだんだん思い出してきました。
そのうち一枚は振り袖を着て、右手に桜の造花のついた枝をもち、左手で右の袖を押さえてポーズをとっています。それは、友だちの代わりに『さくら さくら』を踊ったときのものでした。
たしか、当日熱を出して休んだ友だちの替わりとして、先生は何の躊躇もなくワタクシを選んでくれたのですが、なぜか、ワタクシ、振りを全部覚えていたんですね。ちゃんと踊っちゃったのです。
いつも目立たなくてひっこみじあんだったワタクシ。その日、近所のおばさんから「いくつも踊ってすごかったね」といわれて気分が良かったことも思い出しました。
作品名:ことばの雨が降ってくるまで 作家名:せき あゆみ