ことばの雨が降ってくるまで
自分の体験から得たもの
ところで、ワタクシはエッセイ『ワタクシは宇宙人?』1・2にあるようにガンを患っています。
自分から「わたし、ガンなのよ」というと、たいていの人は次のことばを失います。ガンという病が死に直結させるイメージが根強いのと、その重さを感じて受け止めがたいわけです。
でも、ワタクシはその重さをできるだけ人様に感じさせたくないので、脳天気に振る舞っています。
そんなわけですから、ワタクシの病気をしっている方は「逆に励まされる」とか、「あなたが明るいからこっちも落ち込まなくてすむ」といわれます。それでいいと思っています。
ワタクシ自身、自分が病気になる前はそんな大きな病気を煩った人に、どんなふうに接していいのかわからないというのが本音でした。
自分が健常者であるということから、中途半端な同情や憐れみの気持ちをもってしまうようで気が引けたのです。
けれど、その人の性格にもよりますが、基本的には普通に接すればいいのだと、今は思います。
だからというわけでもないのですが、こういう素材を物語として仕立てるとき、重く書きたくないというのが正直な気持ちです。
実際、場所は違っても同じガンという病気に罹った方は、実に明るいのです。頑張って生きるんだという気持ちを、胸にしっかりと秘めているのです。
むしろ、ガンに罹ったことで生きていく希望ができたとすらおっしゃた方もいます。
オトコの方は知りません。
ドクターの話によると、「総じてオトコの方が意気地がない」とのことですが。
実際にガンは笑うことによって縮んだり、消滅すらしてしまうということがわかっています。
ワタクシもあっけらかんとすごしたいと思います。
作品名:ことばの雨が降ってくるまで 作家名:せき あゆみ