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せき あゆみ
せき あゆみ
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ことばの雨が降ってくるまで

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いつかは書いてみたい歴史もの



昔、漫画を描いていたとき、雑誌には漫画スクールなるコーナーがあって、投稿作品を募集して何作かを選び、上位に入選するとデビューなんていうのがありました。
今は少女漫画雑誌はありませんから、少年漫画雑誌では現在もそういうことをしていますね。

当然そのとき、選評が載るわけですが、あるとき、歴史漫画を描かれた方が下位の方に入選されました。

その作品に対しては、わりと好意的な批評がされていましたが、総評に「アマチュアのうちでは、あまり歴史物を書くことは薦めない。時代考証に時間がかかるので、作品を描くまでに疲れてしまうから」とありました。

もちろん、描くなというのではありません。
ワタクシはその一文を読んで、なるほどと思ったのです。

当時ワタクシは中国の歴史が大好きで、いろいろ調べておりました。
最初は美人といわれる姫君を調べていて、趙飛燕や驪姫はそれなりにおもしろかったのですが、楊貴妃を調べるうちに「なんて嫌な女なんだ」と思うようになって、むしろ「悪女」といわれる人の方に興味が行くようになったのです。楊貴妃は容色だけの性格ブスで、ちっとも人間的な魅力を感じませんでした。

かえって、呂后や武則天。妲己や褒■(ほうじ・「じ」は女偏に似)の方が魅力的です。

それで、いろいろ描こうとしましたが、たしかに時代考証がたいへんです。
文章ならともかく、「絵」にするのですから、ある程度自分でデザインすることはできても、前提のものがなくてはそれもできません。
着るものだけではありません。建物・乗り物から小物まで一切合切、調べなくてはなりません。

ストーリー以前の問題でした。
アマチュアに歴史物(を描くこと)は薦めないという編集者のことばはもっともだと思いました。

ですが、文章となれば多少事情は違います。
資料を集めても、それを絵にしなくてもいいのですから。
絵にするには、正面だけでなく背面・側面も知らなければならないばかりか、時によっては上からや下からのアングルで描かなくてはならない場面も出てきます。

そういった意味では文章にする方が楽です。
でも、わかりやすく描写するためには、やっぱり書き方に工夫をしますけどね。

史実とフィクション。いろいろ取り混ぜて、おもしろい物語をいつか書いてみたいと思っています。