After Tragedy2~僕とキュオネの出会い~
シー兄ちゃんがレーニスを殺したということになった時に、村の人達は口を揃えて、『さすが反逆者の子供だな。牢屋から出すべきではなかったんだよ。』と言った。あの手の平を返した大人達の反応が忘れられない。シー兄ちゃんが、レーニスが亡くなった直後に泣いていたところを見ていたのに。誰もが見て同情を寄せていたはずなのに。それなのにも関わらず、村の人達はそのことをすっかり忘れてシー兄ちゃんを非難した。
あれから僕は一生懸命文献を漁って、シー兄ちゃんの無罪を立証しようと考えた。けれども、証拠は掴めないままに、ただ僕が白い眼で見られるだけだった。何だかんだいっても、僕の育ての親は天才と呼ばれたレーニス・フェアリースだ。だから、表向きそこまで悲惨なことにはならなかった。皆、僕の知識を買っていた。けれど、僕のもとに勉強を習いにくる子供達は、レーニスの話に触れることはない。そこを見れば周りの人々が僕に対してどういった認識をしているのか明らかだった。そんなものにライを巻き込むのはおかしい。ライの家が僕を育ててくれたこと、ライの傍にいられたことで僕は十分だ。
だけど、苦しい。
僕は、木から降りずにそっと泣いた
作品名:After Tragedy2~僕とキュオネの出会い~ 作家名:未花月はるかぜ