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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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After Tragedy2~僕とキュオネの出会い~

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小さな手は、優しく僕の背中を撫でた。
「大丈夫ですよ。ユクスさんがやっていることは、間違いじゃないです。私、レーニスとシー・ウインドスの間の子供なんです。」
 そういうとキュオネは僕の目を見て、笑いかけた。僕は一瞬何を言われたのか理解が出来なくて立ち尽くした。
「デメテル、この人に何も言わないのはおかしいと思うよ。こんなに一生懸命思ってくれているのに。」
僕はデメテルの顔を思わずみると、重大な失敗を犯したように青ざめている。その様子を見る限りは事実のように思えた。
「キュオネ。キロとこっちに暮らすのにあたって約束したことを覚えているよね。自分の素性を話さないって。」
「じゃあ、ユクスさんをずっとこのまま知らん顔でほっておくの?」
キュオネは、さっきまで青い顔をしていたとは思えない程に落ち着きのある声でデメテルに聞いた。デメテルは、どう答えたらいいのか分からない様子で黙りこくっている。
 僕は、キュオネと言う少女を改めて見てみた。レーニスの特徴とも言えた癖のある髪の毛に、シー兄ちゃんを思い出させる少し吊った目がデメテルをじっと見ている。確かにキュオネは2人の子供だと言っても不思議では無い雰囲気をしている。でも、僕はシー兄ちゃんの死ぬ間際まで一緒にいたのに、彼女の存在を知らなかった。そもそも種族が違うのに子供なんか出来るのだろうか。精霊と人間じゃ、増え方も違う。自然物の精気が偶発的に集まって精霊が生まれるのに対し、人間は男女が交わることで生まれる。僕はデメテルに聞いた。
「キュオネさんの言っていることは本当ですか?」
 デメテルは、観念したように僕に頷いた。
「じゃあ…。」
僕はシー兄ちゃんの無罪がはっきりした様な気がして胸がたかなった。けれども、デメテルはそんな僕の期待を遮るように言った。
「でも、レーニスを殺したのは一般的にシーだと言われているのは神界も人間界も変わらないよ。」
 僕は胸がつかえる感じを覚えた。キュオネがレーニスとシー兄ちゃんの子供である時点で、僕はシー兄ちゃんの無罪が立証できると期待をしていたから。でも、デメテルは素早くそれを否定した。僕は諦めきれず、『一般的』にという表現に希望を持ってみたものの、キュオネに気遣ってデメテルが言っているようにも思えた。