サイコ・PASS 火星開拓
ダサい女高生・2162年
常守朱(つねもり あかね)、70歳、超ベテランの監視官。2112年のときのメンバーは全て他界した。彼女だけが生きている。
23区は超高層ビルの下に、貧民街があり、怪しげな商店街、そこでしか売られないものがある。秋葉原、かつてはアニメや萌えキャラグッツを販売していたが、リアルな3DCGによって、萌え産業も一部の年配者だけの娯楽になった。
そして築150年を迎える東京スカイツリーからは、どうしようもない、お笑い番組だけが夜9時から12時まで3時間放送される。ペラペラのポスターのような壁掛けテレビを見るのは、お年寄りと貧困者だけの娯楽。富裕層は、バーチャルリアリティでなりたい自分になり、楽しい思いをする。
多摩地区は富裕層の人たちが住む。6年制の女子学園がある。21世紀初頭のような輝きも華やかさを感じない。木造の校舎は100年近く使われている。老朽化が激しい。廊下や教室の床は木造。穴が開いている。雨が降れば雨漏りがする。
長いスカートの薄茶色のセーラー服。21世紀初頭と違って、授業時間は短い。週休3日制、金曜日から日曜日までお休み。部活は残り4日の放課後、午後に行う。
常守朱(つねもり あかね)70歳、白髪の短い髪が特徴。彼女は独身。結婚できなかった。自分との戦いに明け暮れて、自分がいつ執行官へ降格するか不安と戦った。公安には決まった休日はない。富裕層の人たちのように、週3日も休めない。
「あいかわらず。今の女子校生はダサい。セーラー服はボロボロ。汚れが酷い。とても女の子が着る服ではない」
朱は、そうつぶやいた。
富裕層を教育する私立学園も経営が大変である。教師はストレスを多く抱えやすい。だから、休日が多い。当然、週休3日になり、夏休みは2ヶ月、冬休みは1ヶ月、春休みは2ヶ月。そして5月と9月には1週間ずつ休みがある。
とても短い時間に多くの事を覚えさせるには、自主的に図書館に行くか、学習塾や家庭教師から勉強を教えてもらうしかない。
この50年間で、科学技術が爆発的に進歩し、コンタクトレンズ型のコンピューターを装着するだけで、網膜にあらゆる情報が入る。もう、タブレット端末や腕時計型通信機は時代遅れ。
富裕層の人たちは、ロボット医師から精神鑑定してもらい、人工知能コンピューターと会話しながら、日頃の悩みを聴いてもらう。毎週、精神科に行く義務がある。そうしないと自分たちの”サイコパス”が濁る。何も悪いことしないで、半島に強制連行され、20時間強制労働をさせられる。1分から3分おきに怒鳴りつけられたり罵倒され続ける。この世の地獄であり、自殺者が多い。自殺させないために、脳にチップを埋め込み、過酷な労働を喜んでするようにさせられる場合がある。
人間の幸福は、どこから来るだろうか?脳からなのか?
脳を操れれば、かなり劣悪な環境でも幸せになる。さらに前頭葉を操れば、自在に人格を変えられる。朝鮮半島はマッドな脳科学者が全世界から集まる。
富裕層の女子校生も例外ではない。精神鑑定で社会に不適合になれば、半島の工場での過酷な労働を強いられる。無償で働かされ、ひじょうに安い部品が半島から輸入される。その部品によって、宇宙ロケットや宇宙船が造られる。
2週間に1度の割合で、200トンの資材を宇宙に送る。宇宙ステーションで、火星に向かう宇宙船が建造される。沖縄、種子島、赤道直下のニューギニア、南太平洋のクリスマス諸島で日本製ロケットが、頻繁に打ち上げられる。
多摩地区の私立女子校は、全寮制。精神状態に対して、厳格な管理をしているが、どうしても性格が悪い子が、悪知恵で猟奇的な犯罪を行う。
常守朱は、この50年間、富裕層の学生たちの犯罪阻止のために働いている。
作品名:サイコ・PASS 火星開拓 作家名:ぽめ