サイコ・PASS 火星開拓
21世紀の人たちの平均犯罪係数は全員700以上
22世紀の社会では、過度のストレス対策のため「ストレス欠乏症」に陥っている。適度な刺激がないか無気力になる。これも重度の心の病気である。鬱病のような絶望感は感じないが、何もする気になれないために心の病気になる。そして、心肺機能が徐々に弱まりながら死に至る。食欲がなくなる。食事をする気になれない。重度の心の病気である。
21世紀の人たちの社会を研究する歴史学者は、ストレス値は第二次世界大戦の時の3倍。あの時代の人たちの犯罪係数は平均700。犯罪係数100以上で、隔離されセラピーによって治療を受けなければならない。300になれば、ドミネーターで瞬時に殺しても良いほどである。ちなみに江戸時代の犯罪係数は意外と低く、20以下。近代文明がストレス社会を作った。そして人権思想があっても、個人の人権は守られない。
江戸時代、朝起きてから夜寝るまで、毎日、休みなしで働く。空いている時間に、銭湯に行き、いろんな人とつき合う。そこで愚痴や悪口を言って、ストレスを発散する。お祭りがあり、喧嘩もあった。殴り合いの喧嘩もストレス解消だった。花火に演劇、そして吉原で性欲を発散する。突然、何の前触れなく伊勢神宮へ旅たつことで、日頃のストレスを発散する。
田舎は田舎で、農業しか仕事がない。農家は笑いがたえなかった。冗談を言い合いながら同じ仕事を一生しなければならないから、悩んでもしかたない。理想論がないからストレスがなかったかもしれない。それが当たり前だと思うからストレスがない。
そうなると近代文明そのものが人類を不幸にしたとしか考えられない。で、過剰なストレスが、心の病気を作ったが、自殺以外では、心の病気で人間は死なない。鬱病や躁鬱病、統合失調症など、心の病気が多かった。
だが、「ストレス欠如症候群」に陥ると心肺機能が低下して死に至る。ストレスを過剰なくらい消滅させた結果である。
21世紀初期、311地震でも福島原発事故でも秩序が保たれた。激しい暴動が起きなかった。みんなの犯罪係数は700以上である。よく市民革命や暴動を起こさなかったのか謎である。
21世紀に生きていた人は全て犯罪者予備軍だった。ほぼ単一民族社会で、同じ文化・言語という基盤の上で生活したから、暴動がおきなかったと考えられる。犯罪係数が異常に高いわりに、犯罪が極端に少ない。22世紀の社会では、そのことは謎とされている。22世紀を生きる人たちにとって理解できなかった。
作品名:サイコ・PASS 火星開拓 作家名:ぽめ