サイコ・PASS 火星開拓
2076年・日の丸まつりは、高齢化によって終焉した・そしてアジア系外国人たちの多民族国家へ
日の丸まつりとは、右翼思想の塊の人たちがあるまる祭典。東京・名古屋・大阪など主要都市で行わる。1日に200万人もの人が集まる。
上空には純国産ジェット戦闘機が10機とび、マッハ3.8の速度で低空飛行をする。多くの住宅街の窓ガラスや自動車のガラスが一瞬で破れる。ジェット機が通ったあとには、多くの人が衝撃波によって、吹き飛ばされる。
お祭りには重傷者がつきもの。救急病院には全身を強く打ち、複雑骨折の人たちが、救急車で運ばれる。あまりにも危険なので、電気自動車や電動トラックなどは、田舎に疎開させる。ジェット機の通り道になる市街地では、わざと窓ガラスを外す。防御壁工事で自宅を守るしかない。
ジェット機が通る時、音は聞こえない。激しい衝撃波が来る。そして、あらゆる物に衝撃波が襲う。ビルや住宅にヒビが入る。その後に、「ズドーン!!」という鼓膜が破れるような大きな音がする。
映画館よりも大きい会場の大型スクリーンには、ジェット戦闘機のパイロットの顔や戦闘機から映し出された風景が写される。日の丸まつりに来た人たちは大歓声を上げる。日の丸の旗を掲げて歓声の声をあげる。
日本の産業の大部分は、重工業、そして軍需工業。1日12時間、昼夜2交代制の週6日制である。労働基準法では1日8時間であるが、みんなが一致してサービス残業を1日4時間、休日出勤は12時間も行う。
もうニート、2ちゃんねらーはいない。
だが、右翼思想をもった人たちも、高齢化には勝てない。ロボット技術を憎むパソコンオタクは、介護ロボットのお世話になろうとしない。ロボットという新しい技術を強く嫌悪する。だから、自分の足で歩けない人は、外国人ヘルパーによって車イスを押してもらう。
外国人たちは日本の技術を盗み出し、高度な産業用ロボットから、介護ロボットを欧米諸国に輸出した。
2076年、日の丸まつりは、70歳以上のお年寄りしかいない。若い人はグローバル化された日本列島で生き残るため、ナショナリズムを捨てた。もう、過去の活気はない。外国人への敵意から共存へと時代が変わった。
その時から、ストレスや犯罪係数、そして人格係数を数値化する研究が始まった。
作品名:サイコ・PASS 火星開拓 作家名:ぽめ