サイコ・PASS 火星開拓
日の丸・君が代世代の軍国主義思想に囚われている人たちが貧困層へ
21世紀、前半の日本。右翼政権で憲法改正が実現し、多くの若者のは軍国主義教育を受ける。公立学校では軍国主義教育が行われ、まるで本物の軍隊みたいである。戦前のような社会へと変化した。街中、至る所に日の丸の旗がある。
大都市圏では、頻繁に純国産ジェット戦闘機が飛び回り、騒音も酷い。
国民皆兵制度なので、高齢者も女性も例外なく軍事訓練を受ける。あえてアジアの国々に刺激させ、わざと大規模な戦争を起そうとする。もうじき戦争が起きるという風潮に酔いしれる若者が多い。徴兵制は全会一致で賛成され、厳しい訓練を4年間、極限的な特訓は1日も休日なしで行われる。当然、あまりにも厳しい訓練で、事故も多発する。自殺者は年間6万人もいるありさま。
大規模なアジア戦争の架空戦記の映画が上映される。政治色が強く、映画館は、常に満員である。軍国主義に酔いしれる若者は、いつ東アジア戦争がおきるか楽しみにしている。政治色が強い映画を観る義務があり、感想を特高警察に提出しなければならない。
日本の軍事力は、わずか1日で1億人を殺せるほど強い。水爆に原爆、殺傷能力が高い細菌兵器を使えば、地球上の全人類に被害が及ぶ。
映画館では、リアルな外国の町並みが映し出され、それが原子爆弾で高層ビルが溶けるのを見て歓声を上げる。つらい徴兵制度を乗り越えた若者は、専属の軍人になろうとするが競争率は高い。
議会制政治では、右翼政権の支持率は98パーセント。選挙に行かないのはお年寄りだけ。若者が選挙のとき投票場に行列ができる。投票できるまで30分待ちは当たり前。若い日本人は中国や韓国・北朝鮮を滅ぼすことを夢見る。戦争とは、ボタン一つで数十万人をゲーム感覚で殺せる。無人戦車を上陸させて一般市民を無差別に殺せる。白旗をあげてもムダである。1人でも多く殺せば、英雄になれるから、殺人数を競い合うことになる。
少子高齢化には、どんな軍事力でもかなわない。21世紀前半の若者も、いずれ高齢者になる。介護してもらうには外国人のヘルパーに頼るしかない。外国人が高齢者施設を作る。外国人が大量に日本列島に移住する。
そして日本からは軍国主義の思想がなくなる。
日本は多民族国家になった。多くの言語で話すようになる。ナショナリズムは衰退する。外国人と結婚する若者がほとんどである。純粋な日本人は極少数になる。
もう戦前の日本を美化する勢力はなくなり、現実に目を向けなければならない。
そして22世紀になると、朝鮮半島に統一国家が誕生し、全体主義にもとずいた共産主義国家になる。朝鮮半島には強権的な独裁者が統治している。日本の共産主義社会とは異なる。日本の社会では適材適所に人材を派遣する。でも、軍国主義時代の考えが抜けない親から育てられた人たちが貧困で苦しんでいる。いつの時代、時代から取り残された人は悲惨である。自動的に落ちこぼれになる。
日本は、二重経済となり、低開発途上国状態の日本と、先進国である日本と分かれる。そして、富裕層だけが共産主義経済で、貧困と無縁の社会で生活する。
作品名:サイコ・PASS 火星開拓 作家名:ぽめ