サイコ・PASS 火星開拓
バーチャルリアリティよりも楽しい殺人ゲーム
22世紀、217年もの間、日本は外国との戦争は一度もできなかった。21世紀前半は右翼の時代。中国や韓国を敵視する若者が、戦争に強い憧れを持つ。ボタン一つで、合法的に数十万人もの人たちが殺せる。戦闘とは無関係の一般市民への大量殺人ができる技術がある。熱核爆弾、水素爆弾、その他、細菌兵器、化学兵器、ボタン一つで何十万人の人を殺せる。
ゲーム感覚の戦争に憧れた若者は、右翼政権を支持し続けた。憲法を改正し、国民皆兵制度、徴兵制も実現した。軍事費比率は1パーセントから70パーセントへと跳ね上がった。軍需産業が活性化して、平成不況が克服できた。ナチスが軍需産業を推し進めたため、雇用が増えて貧困とインフレがなくなったと同じである。最新鋭のジェット戦闘機や戦車、空母が作られ、原子力発電所に電力が依存された。日本の電力の99パーセントが原子力である。
日本各地に原子力発電所が作られ、核兵器が大量に作られた。
日本海で核実験が頻繁に行われる。
日本だけで、地球上の全ての陸地を、100回以上、焼き尽くせるほどの核ミサイルが所有できたが、ムダとなった。その結果、貧富の差が激しくなった。21世紀中期、軍国主義国家と外国との激しい戦争に憧れた2ちゃんねらーも高齢者になり認知症になる。経済力では中国や韓国に追い越された。日本列島では中国人や韓国人の移民が富裕層になった。次第にナショナリズムが低下する。21世紀後半、戦争に憧れる若者はいない。現実を見ることになった。日本人が移民のような扱いされる。多くの外国人に囲まれ、それに上手く適応できる人たちだけが、富裕層になれる。もう、日本には戦争を起こす外交手段がない。中国や韓国の言いなりになりつづけながら平和が続く。
だから、少子高齢化により、日本も外国人に依存するしか道がない。当然、戦争する元気を徐々に失う。
幸い日本人は、そこまでバカでなかった。結果的には、貧富の差が激しくなったことで、右翼ブームが沈静化した。右翼政権への支持率は低下した。1945年以来、長期平和が続いた。富裕層と貧困層と別れた結果、右翼ブームは消滅した。ネット右翼がいなくなった。戦争に憧れた高齢者はパソコンを所有できないほど貧しくなった。貧乏暇なし状態。ネットに接続できないほど貧困になる。当然、いい加減な情報、無責任な情報が流せない。でも、富裕層は休日が多く、半年ごとに最先端のパソコンやモバイル機器を買い続ける。
貧富の差を作り出した右翼政権が、右翼思想を潰した。皮肉な結果になった。二極的な社会が、超管理社会を作り出し、個人が匿名で発言することは、なくなった。軍国主義国家に憧れた若者も、今は過去の人となった。徴兵制と核兵器の所有を夢見た若者たちは、大量殺人ができる激しい戦争を実現できなかった。極端な貧富の差と、大量の外国人が日本列島に入り込んだからである。そして、超管理社会では、自動的に誰が何を考えているか、調べれば解るようになった。
右翼が憎む共産主義社会を、右翼政権が作り出した。皮肉な結果である。21世紀末、日本は共産主義社会になった。貧困問題を社会主義経済で立て直そうとする。休日が多い富裕層は楽な仕事で年収が高い。善良な富裕層の人たちが、貧民街の人たちを援助し続ける。
貧困層では中古パソコンでも変えないほど貧しい。通信費は無料ではない。結果的に格安の壁掛け式テレビでお笑いタレント番組を家族で観る。そして、貧民街では、多くのアルコール飲料やパチンコ場、ギャンブル、そして格安の性風俗店があり、40代の外国人女性が、違法売春をする。高層ビルや高速道路の下に、貧民街がある。バカな親に育てられて、いつのまにか落ちこぼれた人たちが暮らしている。
キリスト教やイスラム教の宗教施設もあるが、宗教を信じると、犯罪係数が倍増する。そして半島へ強制労働させられるので、日本国籍を修得していない外国人しか信者はいない。
貧民街では、21世紀初頭のアニメキャラのグッツが売られる。ほとんどが違法コピー製品であり、高齢者に人気がある。富裕層の人たちも休日、貧民街に来て、性風俗のお店に通ったり、お酒を飲みに行く。そして未成年者も、隠れて行く。人格形成に悪影響を与える。当然、エリートコースの若者ほど、潜在的には犯罪係数は極限的に上昇する。人格が破綻して、精神病質(サイコパス)になる。政治家、特に議員には、精神鑑定の義務が免除される。外国人を相手にする宗教聖職者も人格者ということで、人格検査が免除される。
当然、エリート階級の人たちが、バーチャルリアリティで幼児期のときから、殺人行為を行っている。人を殺すことに何の罪悪感を感じない。
そして、AIコンピューターを駆使して、殺人プログラムを作る。
殺人事件の大部分は富裕層のエリートである。公安は、それらの人たちを捜し出し、殺人犯を捜し続ける。
ゲーム脳というのは疑似科学である。殺人行為の模倣になるなら、時代劇は禁止するべきである。特に戦国時代の合戦で、斬り合うのはリアルな大量殺人の描写である。戦争映画は全て禁止するべきである。あくまでも二次元、平面上での画像を見るだけなので、殺人を体験しているわけでない。
だけど記憶がバーチャルとリアルと区別できない状態では、リアルな殺人が何の罪悪感を感じることなく行える。殺人犯とは人間を遠隔操作して、殺人事件を起こす。それを楽しむ人間がいる。
作品名:サイコ・PASS 火星開拓 作家名:ぽめ