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冬野すいみ
冬野すいみ
novelistID. 21783
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ふたりぼっち

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そして、それを最後に、私がその少女・とき子に会うことはなかった。私の母親が仕事を辞め家にいるようになったので、祖父母のところへ長期間預けられることがなくなったからというのもあるが、何度祖父母の元を訪ねて行ってもその場所に彼女がいることはなかった。もう会うことはなかったのだ。
永遠のお別れ。
人と人の別れというものはある日突然にやってきて、そしてもう二度と会えないものなんだと私は子供心に寂しく思った。

それから、幾度か季節は巡り、私は大人になった。少女とのこともたまに思い出すくらいの霞みの向こうの遠い思い出となり、夕日色した綺麗な宝物として、胸にそっとしまっておいた。寂しい、眩しい、光の宝物。
けれど、グミのお菓子を見かけると少女のことを思い出した。色とりどりの宝石みたいなお菓子。
少女のお気に入りはレモン味。黄色い眩しい味。私はすっぱくて苦手だったけど、少女が食べるととてもおいしそうに見えた。駄菓子屋さんでよく売ってるような安っぽいお菓子。けれど、それは眩しい宝物。
作品名:ふたりぼっち 作家名:冬野すいみ