カムイ
空知集治監に送られた囚人たちは、手鎖の代わりに足枷鉄の玉を付けられて、鉄道建設に従事させられていた。
特に急がれていたのが、幌内炭鉱から石炭を運び出すために、札幌経由で函館まで通じる鉄道である。それは、北辺の警護にあたる軍隊の大量輸送のためにも、重きをなすものである。
多くの囚人は、罪ともいえないような、こじつけのような理由で罰を受けて、北海道各地にある集治監に送られていた。新政府に異を唱えただけの者たちや、徳川家に忠誠をつくし、その信念を貫いているだけの者たちもいた。
北海道全土においての開拓と開発は、外国人技術者を招いて、急ピッチで進められていた。
自発的に仕事を求めてやってくる者は長くは続かず、とにかく人員を補充していかないことには、厳しい環境での使役に、作業が進まないのである。