カムイ
ウワッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ、ウィヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッヒッ、ヒ――ッヒッヒッヒッヒヒヒヒヒヒヒヒッ、ハハハハハハハハ…………、
鈴は、腹を抱えて笑い転げている兄の雄作の前に立って、戸惑いと怒りを含んだ目で睨みつけていた。笑い止みそうにない様子に腹を立てて、部屋を出た。それでも笑い声はまだ続いていた。
鈴は、セタエチを連れて札幌に来ていた。セタエチを来春に、小学校尋常科に入れるためである。セタエチが試験を受けている間に、鈴はひとりで町を歩いていた。その時に加代と出会ったのだ。そして警察署に入って、カムイの居所を告げたのである。
このままではもう、家には帰れない。
セタエチを連れて、江別にある実家に戻った。そこにセタエチを預けて、ひとりで幌内の炭鉱事務所にいる兄を訪れていた。
二度と戻ってくるな、と言っていた雄作ではあるが、鈴から、カムイの居所を警察に教えた、という話を聞くと、さも楽しげに笑い出したのだ。