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カムイ

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 警察署に連れていかれたカムイは、いきなり警視の部屋に連れて行かれた。巡査長の今井弥太郎に腕を取られ、警部が前に立ちはだかっている。弥太郎は、気を付け、の姿勢を取って敬礼をした。
「警視殿、カムイを連行して参りました」
「うむ・・・そやつを残して、下がっていろ」
「しかし、取り調べが、まだ済んでおりません」
「構わん、私が直に調べたいことがある、下がっていろ」
 ふたりは直立の姿勢から敬礼をして、部屋を出て行った。

 同時に警視は椅子から立ち上がると、窓辺によって外を見た。
 街路樹の葉は茶色くなり、風が吹くたびに幾枚かの葉が舞い落ちている。
「カムイ・・・元会津藩士、飯田彦四郎・・・幕府が残した御料金、どこにある?」
 カムイは目を細め、警視の後ろ姿を刺すように見ていた。
「今さらそれを、徳川家に戻そうとは言わん。政府に渡そうとも思わん。私腹を肥やそうという訳でもない。私は、ゆくゆくは、知事になろうと思っている。北海道のためにな」
「・・・・・・」
「ま、よいわ、ゆっくりと考えろ。時間はたっぷりとある」
 警視は部屋の扉を開け、外で待っていたふたりに、カムイを連れて行くように、と告げた。
「ちょっと待ってくれ、私の居場所を教えた人物の、名を教えてくれ」
「女だ。名は、鈴、と言ったかな」

 カムイの顔がこわばった。
 鈴が? すずが・・・、鈴が!? すず・・・・・・。
 ウフフフフフフ、すずが・・・そうか、すずなのか・・・、
 ウフフフ・・・ウフフフ・・・フフ・・・フッ・・・フッフッフフフフ…………。
作品名:カムイ 作家名:健忘真実