小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

カムイ

INDEX|61ページ/160ページ|

次のページ前のページ
 

 雪の重みで小屋全体が、ギシッーギシッ、と悲鳴をあげ始めている。
 屋根の雪を下ろし、降り積もった雪も集めて山のようになして、数日間放置しておくと、鋸を使って四角く切り出すことができる。それらを小屋の横に積み上げていき、雪の小さな部屋を作った。かまくらの変形である(イヌイットの仮の住まい・イグルーのこと)。
 その中に火を入れた鉢を持ち込み、カムイとセタエチのふたりは時々、そこで生活をすることにしたのだ。広い小屋の中にいるよりも、暖かいであろうと。そして実際、その中は暖かいのである。


「加代ちゃぁ〜ん、中に入っておいでよ。ぼくとさぶとで作ったんだぜ。あったかいよォ」
「火鉢を入れてるんだね。おかきを焼いて食べようか」
 3人で小さなかまくらの中に入って座布団の上に座り、加代が持ってきたかき餅を焼いて、食べたことを思い出した。

 加代はこの寒さと雪の中、どのようにして過ごしているだろうか。余市は、海からの風が強く、吹き荒れているにちがいない。
 くじけるなよ。
 加代の面影に語りかけると同時に、自身を叱咤した。
作品名:カムイ 作家名:健忘真実