カムイ
雪の重みで小屋全体が、ギシッーギシッ、と悲鳴をあげ始めている。
屋根の雪を下ろし、降り積もった雪も集めて山のようになして、数日間放置しておくと、鋸を使って四角く切り出すことができる。それらを小屋の横に積み上げていき、雪の小さな部屋を作った。かまくらの変形である(イヌイットの仮の住まい・イグルーのこと)。
その中に火を入れた鉢を持ち込み、カムイとセタエチのふたりは時々、そこで生活をすることにしたのだ。広い小屋の中にいるよりも、暖かいであろうと。そして実際、その中は暖かいのである。
「加代ちゃぁ〜ん、中に入っておいでよ。ぼくとさぶとで作ったんだぜ。あったかいよォ」
「火鉢を入れてるんだね。おかきを焼いて食べようか」
3人で小さなかまくらの中に入って座布団の上に座り、加代が持ってきたかき餅を焼いて、食べたことを思い出した。
加代はこの寒さと雪の中、どのようにして過ごしているだろうか。余市は、海からの風が強く、吹き荒れているにちがいない。
くじけるなよ。
加代の面影に語りかけると同時に、自身を叱咤した。