カムイ
負けるものか、加代もつらい思いをしているのだから。
食べ物を得なければならない。
川の中に仕掛けをしておく。
キツネとウサギを捉える罠をも仕掛ける。
すべて、アイヌの人々との生活から学んだ方法である。
自然は、労力と時間を惜しまなければ、豊富な食べ物を提供してくれる。時間はたっぷりとあるのだ。ここでの時間はゆったりと、そしてゆるやかに、過ぎ去っていく。
野生のユリの球根は、粉にして団子にすればよい。草の実、木の実など、探せばたっぷりとある。冬の間の食料として、団子にしたものを乾燥させて、保存できる形にしておこう。
森の中では、リスがせわしなく木を駆け降り、実を取って来ては器用に枝を渡って駆け登っていくのを見かけた。子育てをしているらしい。
ふっ、と気持ちが和む。
無事に育てよ・・・そして共に冬の厳しさを乗り越えねばな、俺たちはまるで、同志だな、と語りかけた。