カムイ
そのまま、じりっじりっとして、時は流れる。
ついに、ひとりの男が馬に駆け寄り跨ると、家の方に向かって馬の腹を蹴った。
油の付いた数本の矢じりに火を付け、家に向かって一挙に放とうとしている。
それを目には捉えているが、ふたりを相手にして、今動くことが出来ない。
ドギュ――ン。銃声が轟いた。
馬上の男の体が反り返ってからゆっくりと傾き、弓を持ったまま馬から落ちていく。火矢は、散らばり落ちた。
3人は同時に振りかえって、それを見た。
だがカムイは、ふたりを間髪いれずに、続けて切ったのである。
ふたりは不意を突かれて、目を大きく見開いたまま、ドサーッ、と倒れた。
銃声を発した方角に目をやった。
小高い岩山の上で、黒い服を来た男が銃を片手に、馬首を返すところである。
雄作だ。
雄作は振り返ることもなく、去って行った。