カムイ
森の中では、ふたりの若者が焚火の番をしながら、あたりに注意を払っていた。
ところが、他の者全員がまだ熟睡中に火矢を天幕に放たれ、炎はすぐにそれらを舐めつくし、燃え広がった。カムイも含めた誰もが、火の攻撃のことは考えていなかったのである。
さらに、イトコイたちにとっては、森の入口で見張りをすることなど、考えもしなかったことだ。それほどに、争いには慣れていなかった。といっても、森の中では八方隙だらけなのではあるが。
「来た!」と叫びながら天幕を切り裂き、中にいる者を順次外に出している時に、その若者の背中は矢で撃ち抜かれた。
外で寝ていた男たちは刀を取り、天幕を裂くことを優先させたが、矢は次々に飛んでくる。
一帯は騒然となった。
天幕から出ることが出来ず、折り重なって焼け死んだ女子供たち。飛んでくる矢に射られて、斃れた者たち。
さらに盗賊が姿を現すと、生きている者を容赦なく、手当たりしだいに刀で切りつけていった。
生かされて残っているのは、少女ひとり。刀を突き付けられている。
「お宝はどこに隠してある!?」
少女は、恐怖で声を発することが出来ない。また言葉が分からないので、後ずさりしながら首を横に振り続けるばかり。
「おい、傷を付けるな、それも大事な商品だからよ」
顔に大きな傷のある男が言った。