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カムイ

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 カムイは茶碗をおいて、視線を強くした。
「文左、頼みがある。鈴たちを、江別に送り届けてくれ」
「ハッハッハッ、ワシも見くびられたもんだな。カムイよ、ワシはお主に、何度も命を助けられている。今をおいては、その恩義に報いることはできん。足手まといに思っているなら、心配は無用だ。腕は、まだまだ、衰えてはおらんよ」

「私も銃を取って、闘うよ」
 春彦と凛に食べさせながら、じっと聞き耳を立てていた鈴が、口をはさんだ。
「鈴は、子供たちを守ることが、役割だ。食事を終えたら、すぐにここを発て」
「えっ! 子供たちは文左衛門さんに任せるよ。銃の腕なら私も確かだから、確実にやっつけられる」

「鈴は・・・人を狙って撃ったことが、あるのか? 人の命を奪ったことがあるのか? あるまい・・・鈴には、馬たちも引き連れて行ってほしい。それは、お前にしかできん。月と、昴(すばる)は残してな」
 何頭もの馬を引き連れて行くのには、鈴は慣れている。注文を受けた馬を売るためである。
 昴は月の子供で性格が良く似ており、文左衛門が何度か乗って、よくなついている馬だ。
 
 カムイの、今までに見たことのない、刺してくるようなまなざしを受けて、鈴はたじろいだ。
「分かった。片付けを終えたらすぐに馬たちを連れ出す準備をして、ここを出る。だけど、銃は使っておくれ」
「いや、お前たちの、道中の安全が、優先だ。心配事を残しては、集中して闘えんからな」

 準備を終え、馬車に子供たちを乗せると、「絶対に死ぬんじゃないよ。約束したよ」とふたりに言いながら乗り込み、カムイと文左衛門の見送りを受けて、馬を走らせた。
作品名:カムイ 作家名:健忘真実