カムイ
刀を背中掛けにし、馬に乗った4人の男たちがカムイの牧場がある対岸に現れ、牧場側の様子をうかがっている。
いかつい顔に、こめかみから顎にかけての大きな刀傷を残している男が、頭のように振る舞っている。
その後、馬首を森の方角に向けたが、森の中には入って行かず覗き込むようにして、その前を横切って去って行った。
翌日同じ刻限、昼前に現れた時には、7人になっていた。昨日同様、牧場の様子をうかがってから森の手前を通って去って行った。
川の上流の岩陰で、文左衛門は凛の遊び相手となりながら、それらを目にしっかりと捉えていた。
文左衛門は、皆がそろって昼飯を取っている時に、カムイにその様子を伝えた。
「なんやら、物騒な連中が来そうだぜ。昨日は4人、今日は、7人だ」
「いよいよ来たか。予想はしていたが、7人もいたとはな」
「いや、分からん。もっと増えるかもしれん」
カムイは、茶漬けを口に流し込んでいた箸を止めて、文左衛門を見つめた。
「イトコイに、知らせておかねばならんな」
「それで、どうする? 奴らが襲ってきたら」
「イトコイたちは、守らねばならん。私を頼って、来てくれたのだからな」
「フフン、そういうと思ったぜ。ならワシも、準備をしておかねばな」