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カムイ

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 川には木橋を掛けていた。彼らは、その橋を渡り川辺に近い森の中、盛り上がって広い平面となっている場所一帯の草を刈り取って、そこに天幕を立て、女子供はその中で寝起きした。木と木の間に防水布を張り渡して、男たちはその下で、交代しながら休んだ。
 焚火の番と、獣の襲来を警戒するためである。
 
 祭祀に使う貴重な装飾品や衣類などは、防水布でくるんで大きな木の根元に穴を掘り、その中に埋めた。
 アイヌが作る伝統的な工芸品や刺繍織物は、和人の間では、高額で取引されていた。それが今は、アイヌ民を取りまとめて、すべてを役人の管理下に置き、民間人の自由な取引は出来なくなってしまっている。
 
 闇で欲しがる人々がいた。
 故に、その欲望に加担しようとする輩が現れる。
作品名:カムイ 作家名:健忘真実